6年前の3月も終わり近く、K君はお浄土へと旅立っていきました。中学2年生でした。
真っ黒に日焼けして、水泳部で頑張っていました。書道では見事な、堂々とした字を書いていました。
男の子にも女の子にも分け隔てなく接していて、友達の多い少年でした。
ようやく暖かくなってきた春に、病気が治らず、逝ってしまいました。
彼のお命日には毎年、沢山の友達がお参りに来てくれます。お寺に参ったこともなければ、
手を合わせることも、線香の上げ方も知らなかった少年少女が、この日だけは毎年来てくれるのです。
K君の死を縁として、若い彼らがお寺とつながってくれました。そして彼らの心の中にはまだ、
K君が生きているのですね。
今年のお正月過ぎに、同級生の男の子が3人お参りに来ました。
S君は仕事を休んで。T君は留学先から。Ⅿ君は神奈川県から。前日の成人式に
出席していたそうです。K君も一緒に式に出たかったけどそれはかなわないことなので、
せめてお参りに来たとのこと…。人生の節目に彼を忘れずに手を合わせてくれる。
あれから6年が過ぎて、心も立派に成長したのですね。
もうすぐ彼のお命日です。この日だけは、本堂のお茶菓子が饅頭やせんべいなどの和菓子ではなく、
チョコパイやクッキーに変わり、紅茶やジュースをテーブルの上に用意しておきます。
成人式を終えた、ちょっと大人になった同級生がK君の思い出を語りに来てくれるのです。
本当にありがとう。